どのソフトを選ぶべき?建築パース制作

コラム

こんにちは!
VADOねえさんです。

建築ビジュアライゼーションの世界に足を踏み入れると、多くの初学者が最初に直面する問題の一つは、どのソフトウェアを選ぶべきかということです。市場には多くの選択肢があり、それぞれが異なる特徴と利点を持っています。このガイドでは、初心者が建築CG制作に最適なソフトウェアを選ぶためのポイントを紹介します。

ステップ1: 目的を明確にする

問題点: 初心者が最初に悩むのは、自分が何を作りたいのか具体的にイメージできていないことです。
解決策: まず、あなたの目的を明確にしましょう。

  • 作成する作品の種類:
    • 外観パース(建物の外観を表現)
    • 内観パース(インテリアデザインや内装を表現)
    • マスタープラン(都市計画やランドスケープデザインを表現)
    • 動画
    • VR
  • 目的:
    • 広告・マーケティング用(販売用のビジュアル、広告キャンペーン)
    • 設計プロセスの一部(設計検討、クライアントへの提案)
    • プレゼンテーション用(コンペティション、プロジェクトの発表)
    • 教育・トレーニング用(学習、スキル習得)
  • 表現スタイル:
    • フォトリアルなレンダリング
    • 印象的な広告用レンダリング(アーティスティックな表現)
    • 3Dアニメーション(動きのある表現)
  • 職業の観点:
    • 建築家: 建物の設計やデザインの一部としてCGを使用し、クライアントやステークホルダーへのプレゼンテーションに役立てる。
    • インテリアデザイナー: 室内空間のデザインやインテリアの提案にCGを利用し、クライアントに具体的なイメージを伝える。
    • CGアーティスト: 広告、映画、ゲームなどの業界で使用するビジュアルコンテンツを制作する。リアルな表現やクリエイティブなアートスタイルを追求する。
    • ランドスケープデザイナー: 公園、庭園、都市計画などのランドスケープデザインにCGを活用し、全体的なデザインコンセプトを視覚化する。
    • 学生: 建築、デザイン、アートの学習過程でCGを用いてスキルを習得し、ポートフォリオを作成する。

例えば、目的が広告で目にするマンションの出来上がりを表現する印象的なパースを制作したい場合や建築家が設計をするときに検討する時に使用するパースでは、利用するソフトが異なってきます。

ソフトウェアの基本機能を比較する

問題点: 多くのソフトウェアが類似した機能を提供しており、どれが最適か分かりにくい。

解決策: 主な3Dビジュアライゼーションソフトウェアを以下の3カテゴリに分けて比較しましょう。

建築図面を書く+ビジュアライゼーション

建築設計者が設計検討の際ビジュアライゼーションを行うときに利用します。BIMソフトやCADソフトで簡易なパース制作が行えます。2024年になり、BIMソフトで行うレンダリングも非常に高性能なものになっています。

ソフトウェア特徴利点欠点
Revit建築設計に特化、BIM対応設計とビジュアライゼーションの統合学習コストが高い、ソフトが高価
ArchiCADBIM対応、建築設計とビジュアライゼーションの統合設計とビジュアライゼーションの一体化学習コストが高い、柔軟性に欠ける
AutoCAD標準的なCADツール、高い精度広く使用されている、豊富なリソース3Dモデリング機能が限定的
Vectorworks柔軟な設計ツール、BIM対応多機能、建築からランドスケープまで対応学習曲線が急、多機能なため複雑
代表的なものを掲載

モデリング+ビジュアライゼーション

Sketchup、Rhinocerosは設計検討でも幅広く使われています。レンダリングソフトをプラスすれば、クオリティの高いフォトリアルなものまで制作することができます。Blender、3dsMax、Cinema 4Dはモデリングソフトです。建築設計者が利用するというよりは、パース制作専門の方が使うソフトになっています。

ソフトウェア特徴利点欠点
SketchUp直感的で使いやすい、プラグインが豊富初心者に優しい、学習コストが低い高度なモデリングには向かない
Blender無料、強力な機能を備えたオープンソースコストパフォーマンスが高い初学者には少し学習曲線が急かもしれない
3ds Maxプロフェッショナル向け、高度な機能業界標準、豊富なリソース高価、学習コストが高い
Rhinoceros高精度なモデリング、NURBSに対応高度なデザインが可能レンダリングには追加プラグインが必要
Cinema 4D使いやすいインターフェース、高度なアニメーション機能強力なレンダリング、アニメーション機能高価
代表的なものを掲載

レンダリングソフト

レンダリングソフトは、3Dモデリングソフトで作成したモデルにライティング、テクスチャ、エフェクトを適用し、最終的な画像やアニメーションを生成するためのソフトです。リアルな光や影、素材感を表現し、フォトリアルなビジュアルを作成することができます。
逆に言うと、モデリングは出来ないので、モデリングソフトは他に準備しなければなりません。

ソフトウェア特徴利点欠点
V-Ray高品質なレンダリング、広範なソフトウェア対応フォトリアルなレンダリングが可能設定が難しい
Lumion直感的な操作、高速レンダリング簡単に使える、リアルタイムレンダリング高価 細かい設定ができない
Twinmotionリアルタイムレンダリング、VR対応簡単に使える、迅速な結果設定の自由度が低い
EnscapeRevit、SketchUp、Rhinoなどで使えるプラグインリアルタイムプレビュー、使いやすい高度な設定が少ない
Corona Renderer写実的なレンダリング、簡単なインターフェースリアルな表現が可能一部の機能が制限される
D5 Renderリアルタイムレンダリング、直感的な操作性高品質なビジュアライゼーションが迅速に可能まだ新しいソフトウェアでリソースが少ない場合がある
代表的なものを掲載

お勧めの組合せ

設計者向け

組み合わせ: ArchiCAD / Revit + Enscape / Lumion

  • ArchiCAD: BIM対応で、建築設計とビジュアライゼーションを一体化して行うことができます。使いやすく、多くの設計者が利用しています。
  • Revit: 建築設計に特化し、BIM対応で設計プロセスの一部としてビジュアライゼーションを統合的に行うことができます。多くの設計者に利用されています。
  • Enscape: ArchiCADやRevitとの統合が非常にスムーズで、リアルタイムレンダリングが可能です。直感的な操作で使いやすく、設計変更を即座にビジュアルに反映できます。
  • Lumion: 高速レンダリングが可能で、直感的な操作で使いやすく、リアルタイムでの視覚化が可能です。設計プロセスに取り入れやすいです。
  • Twinmotion: リアルタイムレンダリングとVR対応が可能で、直感的な操作で迅速なビジュアライゼーションができます。設計プロセスに適しています。

パース制作者向け

組み合わせ: 3ds Max + V-Ray / Corona Renderer

  • 3ds Max: プロフェッショナル向けの高機能なモデリングソフトで、複雑なシーンの作成や高度なアニメーションにも対応できます。多くのパース制作者が利用しており、業界標準として広く認知されています。
  • V-Ray: フォトリアルなレンダリングが可能で、リアルな質感や光の表現が求められるプロジェクトに最適です。
  • Corona Renderer: V-Rayと並ぶ高品質なレンダリングソフトで、使いやすさとリアルな表現力が特徴です。
  • D5 Render: リアルタイムレンダリングが可能で、直感的な操作で高品質なビジュアライゼーションを実現できます。近年人気が高まっており、迅速な結果を求めるパース制作者にとって魅力的な選択肢です。

ステップ3: コミュニティとサポートを確認する

問題点: ソフトウェアを使い始めた後に、学習やトラブルシューティングで孤立しがち。

解決策: 活発なユーザーコミュニティや公式サポートの有無を確認しましょう。以下の点をチェックしてください。

  • オンラインフォーラムやコミュニティサイト
  • チュートリアルや教育リソースの豊富さ
  • 公式サポートの対応速度と質
もし私が設計士で(設計士ですが)新しいソフトを導入するなら・・・

アドバイス: 初心者は特に、学習をサポートするコミュニティが充実しているソフトウェアを選ぶと良いでしょう。

コミュニティが盛んなソフトウェアを選ぶとしたら、以下の3つのソフトウェアをお勧めします。

1. Revit

  • 理由: RevitはAutodeskが提供するBIM対応の設計ソフトウェアで、多くの設計士に利用されています。公式フォーラムに加え、Revitに特化した多くのオンラインコミュニティが存在し、ユーザーは問題解決や情報交換に積極的です。また、豊富な公式サポート、トレーニングプログラム、チュートリアルが利用可能です​ 。
  • サポートリソース: Autodeskフォーラム、ユーザーグループ、公式ドキュメント

2. ArchiCAD

  • 理由: ArchiCADはGraphisoftが提供するBIM対応の建築設計ソフトウェアで、使いやすく多くの設計士が利用しています。公式フォーラムやユーザーグループが活発で、ソーシャルメディアでも多くの情報交換が行われています。公式サポートや豊富なチュートリアルも利用できるため、初心者でも安心して学べます​ 。
  • サポートリソース: Graphisoftフォーラム、ソーシャルメディアグループ、公式チュートリアル

3. SketchUp

  • 理由: SketchUpは使いやすいインターフェースで、初心者からプロフェッショナルまで幅広く利用されています。特に3Dモデリングに強く、直感的な操作が特徴です。3D Warehouseなどのオンラインリソースも充実しており、ユーザーが作成したモデルを簡単に共有・利用できます。公式フォーラムやコミュニティが非常に活発で、豊富なサポートリソースが提供されています。
  • サポートリソース: SketchUpフォーラム、3D Warehouse、公式チュートリアル
もし私がパース制作者として新しく導入するなら・・・

1. Blender + D5 Render

Blender

  • サポートとコミュニティ: Blenderはオープンソースの3Dモデリングソフトウェアで、非常に活発なコミュニティを持っています。公式フォーラム、Blenderアーティストコミュニティ、豊富なチュートリアル、ドキュメントが提供されています​ (3DSourced)​。
  • 価格: 完全無料。

D5 Render

  • サポートとコミュニティ: D5 Renderはリアルタイムレンダリングが可能なソフトで、急速に成長しているコミュニティがあります。公式フォーラム、ソーシャルメディアでの情報交換が盛んです​ (AppyPie)​​ (3DSourced)​。
  • 価格: 無料版と有料版(年間約480ドル)があり、コストパフォーマンスが高い。

2. 3ds Max + V-Ray

3ds Max

  • サポートとコミュニティ: 3ds Maxはプロフェッショナル向けのモデリングソフトで、長い歴史と大規模なユーザーベースを持ちます。公式フォーラム、ユーザーグループ、トレーニングプログラムが充実しています​ (Arch2O.com)​。
  • 価格: 年間サブスクリプションが必要ですが、強力な機能とサポートを考慮すると費用対効果は高い。

V-Ray

  • サポートとコミュニティ: V-Rayはフォトリアルなレンダリングが可能で、多くのパース制作者に利用されています。公式サイトには多くのチュートリアルがあり、ユーザーコミュニティも非常に活発です​ (AppyPie)​。
  • 価格: 高価ですが、品質と機能を考慮すると適正な価格設定。

3. SketchUp + Enscape/Lumion

SketchUp

  • サポートとコミュニティ: SketchUpは使いやすいインターフェースで、初心者からプロフェッショナルまで幅広く利用されています。公式フォーラムや3D Warehouseなど、豊富なオンラインリソースが提供されています​ (3DSourced)​。
  • 価格: 基本版は無料、Pro版は年間サブスクリプションが必要。

Enscape

  • サポートとコミュニティ: Enscapeはリアルタイムレンダリングが可能で、SketchUpとの統合がスムーズです。公式フォーラム、チュートリアル、ウェビナーが充実しています​ (AppyPie)​。
  • 価格: 月額または年間サブスクリプションがあり、コストパフォーマンスが高い。

ステップ4: 予算を考慮する

問題点: ソフトウェアの価格が高く、予算内で収めるのが難しい。

解決策: 予算に応じたソフトウェアを選びましょう。無料のオプションや、サブスクリプションモデルを提供しているソフトウェアもあります。

アドバイス: 無料で利用できるBlenderや、低コストで始められるSketchUpは、初心者にとって良い選択肢です。また、学生向けに無料ライセンスを提供しているソフトウェアもありますので、確認してみてください。

ステップ5: 試用版を活用する

問題点: 購入前にソフトウェアが自分に合っているかどうか分からない。

解決策: 多くのソフトウェアは試用版を提供しています。試用版をダウンロードして実際に使ってみることで、自分に合ったソフトウェアを見つけることができます。

アドバイス: いくつかのソフトウェアを試してみて、操作性や機能を比較し、自分に最も合ったものを選びましょう。

結論

建築CG制作を始める際のソフトウェア選びは、多くの初学者にとって大きなハードルとなります。しかし、この記事で紹介したステップを踏むことで、自分に最適なソフトウェアを見つけることができるはずです。目的、機能、コミュニティ、予算、そして試用版の活用を通じて、あなたのビジュアライゼーションの旅がスムーズに始まることを願っています。

追加リソース

この記事を書いた人

VADO(ヴァドゥ)ねえさん
猫とビールをこよなく愛する一級建築士。3DVizクリエイター。
三姉妹の子育てをするワーママ。
建築パース制作歴12年。
使用ソフト:3dsMax,Photoshop,Sketchup,Lumion,Vray,Speedtree他
添景用3D樹木データの制作販売も行ってます。
タイトルとURLをコピーしました